MSN

《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.11【最終回とうとうエンディング】

KC「そろそろ番組自体が終わりみたいです。こういう感じで番組が最終回を迎えるというのは、月ユニっぽいなあ」
久「ほんとは何回か来て、この楽しい時間を過ごしたかったですけどね」
KC「まあ、また何らかの形でこのJ-WAVEに戻ってきたいと思います……がんばりたい!」
久「イエス
KC「それでは本日は久保田利伸さんをゲストにお迎えしてお送りしました」
久「すばらしい時間でした」
KC「久保田さんはいつもこの番組を聴いていだいていたみたいなんですけど、聴いていた時と比べて実際どうでした? 変わった所などありました?」
久「全くないですね」
KC「それもどうかと思うんですけど(笑)」
久「キヨシちゃんを目の前にしてる感動はありますけど(笑)。そこがこの番組の良い所なんですけどね。松尾潔の人柄というかどれだけR&Bが好きで愛しているかわかるから。どこで聴いても、どんな時間に聴いても変わらないんだと思う」
KC「その言葉、そのままお返しします」
久「この番組には、松尾潔と聴いてる人の、特にこの手の音楽への愛と結びつきを強く感じます。そして、もちろん僕もその一人です」
KC「ありがとうございます! 番組は最終回ですけども、番組のご感想をお寄せ下さい。1年半のご愛聴ご静聴ありがとうございました。ネバー・トゥ・マッチ・プロダクションの代表としてはやっぱりルーサーで締めさせていただこうかなと思います。最後の曲は、ルーサー・ヴァンドロスの「イフ・オンリー・フォー・ワン・ナイト」(1985年『ザ・ナイト・アイ・フェル・イン・ラブ』所収)。「イフ・オンリー・フォー・ワン・ナイト」……色んな日本語訳はありますけども、今の僕の気持ちは「もう一回やらせて」、って感じですね(笑)。あれっ、良い話のつもりでしたけどいやらしい響きになってしまいましたか?(笑)」
久「かなりそうですね(笑)」
KC「(笑)。それではJ-WAVE THE UNIVERSE月曜日、松尾潔と」
久「お邪魔しました、久保田利伸でした」
KC「またお耳にかかれる日を楽しみにしています。おやすみなさい」
久「おやすみなさい」

Luther Vandross / If Only For One Night

Luther Vandross if only for one night

Night I Fell in Love

Night I Fell in Love

《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.10【キース・スウェット新譜とデュエットについて】

KC「キース・スウェットのアルバムが来月久々に出ることになりまして、10枚目なんでけれども(9枚目かな?)。X'masアルバムとかライブアルバムは出てましたけど、いわゆるオリジナルアルバムとしてはこの2,3年出てなくて、やっとでることになりました。『ジャスト・ミー』っていうアルバムなんですけど。僕、今、日本版のライナーノーツを久々に手掛けることになって、がっつり聴きこんでるんですが」
久「内容はどうですか」
KC「カミンバックですよ」
久「俺たちが聴きたいキース・スウェットがいるわけか」
KC「そうなんですよ。この間のビルボードライブの時も、あれ、キース・スウェット今いくつだっけと思いませんでした? 11月くらいでしたっけ」
久「というか、キース・スウェット大好きだからさ」
KC「僕の中ではキース・スウェットってキャリアの中ではスランプってないんです。僕にいわせりゃ。でも、なんか今いい感じの上昇カーブを描いているような気はします」
久「キース・スウェットってさ、ゲロゲロ歌が上手いっていうわけではないんだよね」
KC「元からね」
久「そこがね、でもだからといって、他の誰かに歌えるかっていうと誰も歌えない」
KC「そこがテディ・ライリーと違う所ですよね(笑)」
久「ここがキース・スウェットの魅力で。聴く人にとってもいいし、いつも自分の音楽を作る時に不器用だから自分のスタイルがはっきりしていて、でもその分時代の音に少しずつ反応したりだとか」
KC「少しずつ入ってるのが良いんですよね」
久「「変わりゆく変わらないもの」みたいな……これ誰が言ったんだっけ」
KC「ネルソン・ジョージですね。その「変わりゆく変わらないもの」を体現しているキース・スウェットの新譜から1曲聴いていただきましょうか。今回のアルバムの中で、テディ・ライリーが1曲プロデュースしていて、27時のテディ・ライリーの最終回にふさわしいかなと思ったらかけようと思ったんですよ、「ザ・フロア」って曲なんですけど。テディ・ライリーがオケを作って、ネクストっていうグループのリードボーカルのR.L.(ロバート"R.L."ハガー)って人がリリックとメロディーをやってる中々良いファンクなんですけど、日本のレコード会社に「まだかけないでくれ」と言われまして……じゃあ、ということでキーシャ・コールとのデュエットをご紹介したいと思います。色々と縛りがありますな……縛りがあるところから何かが生まれるのかもしれませんけどね」
久「そうですね」
KC「これも良い曲です、「ラブ・ユー・ベター」」

Keith Sweat & Keisha Cole / Love U Better

Keith Sweat Feat. Keyshia Cole - Love U Better
♪Toshi & Angie Stone / Hold Me Down

Toshi Kubota Hold Me Down feat Angie Stone

KC「デュエット2曲続けてみました。キースス・ウェット・フィーチャリング・キーシャ・コールで「ラブ・ユー・ベター」。あとはアンジー・ストーンをフィーチャーしたトシの「ホールド・ミー・ダウン」(2004年『タイム・トゥ・シェア』所収)」
久「「トシ」っていうのがね(笑)」
KC「どのトシっていう(笑)」
久「敏いとうとハッピー&ブルーだったりして(笑)」
KC「そうきたか!(笑)」
久「ムード歌謡とソウルっていうのがね(笑)。でもこの曲のこのノリね……2004年か。トラックはどっちかというとアンジー主導で作ったんだよ。アンジーは世代はもう20年くらいずっとシュガー・ヒルと一緒にやってたくらい古いんだけど、さすがにあの馬鹿……じゃなくて(笑)、シュガー・ヒルとのっけからやってるだけあって、ずっと隣にヒップホップグル―ヴがあるんだよね」
KC「そうなんですよね。歌い方はいわゆるソウルボーカルなんですけどね」
久「だからか、いつも新しいことをやれるんだよね。「ホールド・ミー・ダウン」のグル―ヴも、なにげないグル―ヴなんだけど、なんとなく時代の音になってるんだよね。キヨシちゃんのダブルのあの曲(2007年「残り火-eternal BED-」)とかも、日本ではまだ誰もやってないでしょ?」
KC「僕なりに新しい試みのつもりなんですけどね。確かにね、キックとか拍の打ち方なんかは「ホールド・ミー・ダウン」の影響を受けてないとは言い切れません」
久「この曲の影響というか、今静かなブームになってるんだよね、このノリ」
KC「爆発的なブームではないんですよね。歌好きが好きな四つ打ち解釈というか」
久「キーシャ・コールもまた大好きだからさ」
KC「僕なんかに言わせるとメアリーJブライジ以来の熱い女ですよね」
久「いやいやそれは「俺に言わせれば」じゃない?(笑)俺が言いたかったよ、それ(笑)。10年に一人ずつ出てくる位の」
KC「情念の熱い女なんですよね」

ジャスト・ミー

ジャスト・ミー

Time To Share

Time To Share

《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.9【ファンクの呼び声】

KC「眠気覚ましという感じで、90年のキッパー・ジョーンズの作品で、「キャリー・オン」」

♪Kipper Jones / Carry On

Kipper Jones - Carry On(1990)
♪Isley Brothers / I Once Had Your Love?


KC「1990年にリリースされましたキッパー・ジョーンズのソロアルバム、『オーディナリー・ストーリー』から、彼なりのソウル賛歌、ファンク賛歌ですね。「キャリー・オン」はこの番組では一昨年、2006年10月16日にオンエアして……番組が始まって間もない時、1回目2回目くらいですかね、それ以来となりました。そして、月ユニクラシックと言って良いかもしれません、アイズリー・ブラザーズ「アイ・ワンス・サッチ・ア・ラブ」(聞き間違いかも?)。1988年(聞き間違いかも?)のアルバムから一発聴いていただきました。キッパー・ジョーンズの「キャリー・オン」をかけたら、アイズリー、もしくはアイズリーのカバーをかけなきゃいけない、というのがこういう音楽が好きな人間にとっての宿命です」
久「気持ちのいい選曲と流れですよ。しかし、キッパー・ジョーンズの歌に出てくる名前がね(笑)」
KC「ちょっと古いですよね」
久「まあ、「ファンク」という所で」
KC「ただファンクの定義ってほんまもんのキッパー・ジョーンズから言うと相当広いんだなあと思いすね。マイルス・デイヴィスはわかるけど、サラ・ヴォーンまでいて。かたやMCハマーとも言ってましたね、時代なんだけど」
久「そこまで行くつもりなはくて、ジェイムス・ブラウンとかザップとか、そこらへんでいこうと思ったんだけど、ファンク曲の長さにもよって他に入れなきゃいけなくなったのかもね」
KC「この曲聴いてる時、久保田さんがしきりに「人の名前入れると歌詞かせげるんだよなあ」っておっしゃってましたよね(笑)」
久「そんなこと言いましたっけ(笑)」
KC「僕がライターやってるときに文章の字数を埋めたいっていう時とほんと似てますよ(笑)。やっつけっぽくて良くないんじゃないですかお互いに(笑)」
久「ありえないねそんな(笑)。すばらしい音楽があって、そこに文章を書いたりとかね、音楽を歌う仕事に恵まれて曲を作ったり歌ったりする時に、やっつけなんて!……ありえないですね(笑)」
KC「でも、キッパー・ジョーンズがやっててほしいという気持ちが、ちょっとある。そういうゆるめの部分をおもしろがって見る気質が、ファンクリスナーには絶対ある。あんまりタイトにオーガナイズされたものって窮屈でしょ」
久「というか、そんなきっちり作ったファンクはないね(笑)」
KC「元のファンクの定義から外れるかもしれない(笑)」
久「大事な話を聞いた気がするな~(笑)」

Ordinary Story

Ordinary Story

FRONT vol.2

フロント第二号 (1995年4月発行。別冊クロスビート


独占取材

  • NAUGHTY BY NATUREインタビュー(平沢郁子)

特別現地取材1

  • WU-TANG CLANインタビュー(桜井理子)
  • 証言・私はウータンと居酒屋に行った(佐々木士郎)
  • COMMON SENSEインタビュー(桜井理子)
  • PRIORITY RECORDS ICE CUBE/PARIS/DA LENCH MOBインタビュー(平沢郁子)
  • OLD SCHOOL再検証(佐々木士郎)


注目インタビュー 

  • SCARFACEインタビュー(小林雅明)
  • 東西サウンドプロダクション比較・COOLIO&JERUインタビュー(小林雅明)
  • GROUP HOMEインタビュー(佐々木士郎)
  • Ed O.G. & Da Bulldogsインタビュー(緒方香織)


女性ヴォーカリスト特集

  • MARY J. BLIGEインタビュー(泉山真奈美)
  • ショーン“パフィ”コムズの仕事(白石裕一朗)
  • AALIYAHインタビュー(小林雅明)
  • AALIYAHライブレポート(河地依子)
  • AALIYAH魅力分析(武田修)
  • R・ケリーの女性観(小林雅明)
  • Changing Facesインタビュー(小林雅明)
  • 現在注目の女性ヴォーカリストBrandy、Brownstone、TLC(印南敦史)
  • まだまだいるぜ!要注意の歌姫たち(高橋芳朗


特別企画1 


特別企画2


連載

  • WORD IS BOND(Zeebra
  • シリーズ・定番とは何か(佐々木士郎)


保存版 80年代ファンク大特集

  • ファンクは歴史を繰り返す!スティーヴィーからニュージャックスウィングまで(藤田正)
  • モーリス・ホワイトインタビュー(KARL M.)
  • もうひとつのファンク黄金時代(細田日出夫)
  • 80's Funk Album Selection 80(足立、栗山、細田、石島、KARL M.、若山)


TIP OFF

  • Bボーイ・イズム(佐々木士郎)
  • 黒寿司(根本敬
  • 田舎の大物(前原猛
  • KEN-BO'S POINT OF VIEWS(DJ KEN-BO
  • B-BOY FLICKS(沼田充司)
  • EXAMINE YA DOME(P太)

《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.8 【27時のテディ・ライリー最終回】

KC「それでは、このコーナーを久保田さんと一緒に迎えることになりました。「27時のテディ・ライリー」の時間です! これまで色んな曲をかけてきましたが、テディ・ライリーといえばやっぱりガイ、ということで、最後はやっぱり本人のリーダーグループの作品で締めくくろうかなと思います」
久「(テディのリーダーグループといえば)やっぱブラック・ストリートよりもガイかね?」
KC「もちろんブラック・ストリートも大好きなんですけども、やっぱガイだろ!みたいなところは少しありますね」
久「ぼくもそうですね。まぁガイは聴いたね! だからあまりにもガイというか、テディ・ライリーが作ったニュー・ジャック・スウィングをみんながやるから、当たり前のものになっちゃって……ある意味チープなような感じになってしまって。だから、ヘソ曲げようかなとも思ったんだけど、去年久々に見に行ったりしたらさ(2007年9月テディ・ライリー来日公演)、やっぱ違うね」
KC「本家という言葉で説明するのはあまり好きじゃないんですけど、この人に関しては使っていいと思うんですよね」
久「ほんとだね。しかも、会って話すといいヤツなんだよね。とても時代を強引に作っていった人には思えないくらい。逆に、だからなのかもね、地に足ついた感じで」
KC「彼も最終的に音楽好きのオヤジ、というところに着地しようとしてる感じですよね。とにかく、トークボックスを咥えてる時がいちばん幸せなんでしょうね、この人」
久「彼の場合、歌も時々歌うけど、歌がほとんどうまくないと」
KC「うまくなくても味があればいいんですけど、それも危い感じですよね(笑)」
久「あの肌の色だったら、もうちょっとうまくてもいいのに!(笑) でも、彼はその分他の才能があって、だから、トークボックスも冴えてくるんだろうし。その後、ディバンテ(・デグレイト)とかそれ系でトークボックスやる人はいるけど、やっぱりロジャー(・トラウトマン)とテディ・ライリーしかいなかったもんね」
KC「この2人はパイオニア感がすごかったですよね」
久「今話してて、なんで「27時のテディ・ライリー」か、やっとわかったよ。なんで他の人じゃないんだろうと思ったけど、色んな意味でテディ・ライリーの話はできるんだね」
KC「もちろん、ヒットメーカーということでいえばベイビー・フェイス、マエストロということでいえばクインシー・ジョーンズとか、色々いるんですけど、何か、構ってやりたいような、人としての歪な感じも込みで、この人の曲が好きなんだなと思って。あの人、フィナンシャルな意味でも破綻してるんですよね」
久「そうなの?」
KC「今、ヴァージニアのフューチャー・スタジオも売りに出てますよ。後でこっそり値段もお教えしますけども(笑)」
久「でもあそこ、飛行機の騒音が激しいんだよね(笑)」
KC「結構音拾っちゃうんですよね(笑)。あそこの隣の高校にはネプチューンズのファレル(・ウィリアムス)がいたんですよね」
久「テディ・ライリーが高校生の頃のファレルを連れてきたんだよねえ……」
KC「それだけでもすごいことですけども。チャド(・ヒューゴ)もインターンで来てたんですよね」
久「そうなんだってね。僕も行きましたよフューチャースタジオ。高校には行ってないけど(笑)」
KC「学食行っちゃったりしてね(笑)」
久「あんまりうまくないだろうね(笑)。脂っけが多そう。フィッシュアンドチップスとか……」
KC「チキンとかねえ……じゃあ、曲行きましょうか」
久「うん、テディ・ライリーの話してたら(話が)尽きないからね」
KC「このまま番組が終わってしまう(笑)。それでは、1988年ガイ衝撃のデビューアルバム(『ガイ』)から聴いていただきましょう。「ピース・オブ・マイ・ラブ」」

♪Guy / Piece Of My Love

Guy

Guy


Piece Of My Love


KC「まったくその、計算とか抑制とかが無縁のボーカルですよね。最高だなあ」
久「サイコーだね。テディ・ライリーがアーロン・ホールを選んだ、という事がガイを特別な存在にしたんだと思うよ」
KC「テディ・ライリーの音とアーロン・ホールのボーカルの2点で9割方成功と言っていいのではないかと思いますね」
久「いくらテディ・ライリーが同じ時代に色んな人をプロデュースしてたくさん曲を作っていても、やっぱりガイが印象に(残る)。彼があの時代のグル―ヴをバコンと作っちゃったじゃない。だけど、もう一つ広まっていった理由としては、この歌が決してテディ・ライリーが歌うんじゃなくてアーロンが歌っていたこと」
KC「普遍性のある、ソウルフルな歌ですよね」
久「最初スティービー・ワンダーかと思ったもの。でもスティービーにしては強引かなーと思って。ギャップ・バンドのチャーリー・ウィルソンかとも思ったけど、そんなに何曲もゲストに入るかなあと思って。そしたらアーロン・ホールだったわけですよ」
KC「種明かしするように次の2ndアルバムではギャップ・バンドの「アーニング・フォー・ユア・ラブ」をカバーしてみせて、自分のルーツはここにあり、と。それからまたさらに、つい最近数年前ですけどもチャーリー・ウィルソンがガイのレッツ・チルをカバーしてアンサーしたりとかね。こういう風に連なっていく感じ、アメリカのR&Bシーンがうらやましい……日本も久保田さんがMISIAとやってらっしゃるのを見ると、遅ればせながら日本もどんどんつながっていく感じになっていってるのかなと思いますね」
久「つながってますよ。つながっていく音楽じゃないですか、ソウル/R&Bという伝統も含めてね。他のジャンルよりも明らかに一緒に作るとかコラボレーションが多いし、当たり前のものだしね。デュエットっていうのがソウル/R&Bの伝統だしさ。誰かがプロデュースして、そのプロデューサーがつながっていくと。そしてシンガーたちがまたつながっていくと。こういうのが伝統になっている音楽ですからね」
KC「僕もそれも自覚して飲み会の時は、色んな人を呼んでいるんですけども……ただ寂しがり屋だって事もあるんだけど(笑)」
久「色んな人を呼んで、僕も呼んでもらって。深い時間に呼ばれると結構色んな事が起こるけどね(笑)」
KC「(笑)」
久「気をつけないと(笑)」
KC「ガイの88年春から夏にかけて、アメリカのラジオ局でガンガンにボビー・ブラウンやニュー・エディションがヤング・アーバン戦略の時に流されていて、それを久保田さんはLAで聴いていたというのが羨ましい話なんですよね」
久「ちょうど『サッチ・ア・ファンキー・サング!』をレコーディングしてる時期で、LAにいたんだよね」
KC「『サッチ・ア・ファンキー・サング!』は(19)88年の9月30日に発売されています」
久「とすると、ちょうどの時期だね」
KC「制作佳境ですね」
久「LAは車社会だから、聴かざるをえないんだよ、スタジオを行ったり来たりで。あの時はKJLH、(ザ・)ビート(KKBT)なんかを聴いていたよ」
KC「歌ものはKJLH強いですからね」
久「3曲に1曲はテディ・ライリー関連の曲、みたいな。それをアメリカで聴いてたというのが……」
KC「匂い付きでね」
久「わりとこう、ニューヨーク作りの音なんだけど、俺にとっては、聴いていた環境もあるのかもしれないけど、昼間のLAのPCH(パシフィック・コースト・ハイウェイ)っていう海岸沿いの道に合ったりしますね。もしかしてこれが生っぽい音で、テディ・ライリーがもうちょっとニュー・ジャック・スウィングのノリを匂いを強く作っていたら合わなかったかもしれない」
KC「テディはワシントンDCのゴーゴー(GO-GO)とか、ああいう東海岸の黒人文化の影響が強いんだけど、テディっていうバイアスをかけた途端に、西海岸でも通じる音楽になって、もっと言えばワールドワイドな広がりをね、獲得できたのかなあと思います。チャック・ブラウンなんてLAの人はあんまり知らないですからね」
久「まあ、あの人はローカル色のすごく強い神様だよね」
KC「テディのビートの翻訳者としての凄味が88年ですでに出ていたと。《誰にでもわかる、日本語で書かれたアメリカの本》、みたいな」
久「時代をつないでる役割でもあるよね。あの人は古いスウィートなソウルも好きだから、当然こういう音楽になっていくんだけど、同時に時代や世代はヒップホップだから。ちょうどそこの間を無理なくつないでくれたんだよね」
KC「この時代より前から活躍していた、例えばルーサー・ヴァンドロスやフレディー・ジャクソンとかそういった人たちは、この後もかろうじて歌う事ができたんだけど、若手がデビューする時は、肩パットの入ったジャケットのスーツで歌う事は許されなくなってしまいましたね、ガイ以降は」
久「ガイまでだね。でも肩パットの入ったスーツでガイと一緒に雑誌の表紙を飾った事あるよ(笑)。申し合わせたわけじゃないんだけど、全員ダブルで(笑)」
KC「(笑)。あの頃は恥ずかしい写真ってけっこうありますよね(笑)」
久「みんな、時代時代の中で一杯一杯でやってたんだろうね(笑)」
KC「90年に初来日したアレクサンダー・オニールとブリブリの赤紫のダブルのジャケットでイェイと写ってる写真なんかも僕持ってますよ(笑)」
久「キヨシとアレックス、コンビ名としていいね(笑)」
KC「全然いいと思わない!(笑) 今日は「午前3時のテディ・ライリー」、久保田さんの思い入れたっぷりという感じで拡大版でお送りしました」

Such A Funky Thang!

Such A Funky Thang!

(続く。※半分をまた1/4以下に抜粋しています)

《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.7 【最終回に間に合った最新曲をオンエア&こぼれ話】

♪ JUJU & DELTA GOODREM「LIVE! TOGETHER (TOKYO GIRLS ANTHEM)」

Delta Goodrem & JuJu - Live! Together

KC「J-WAVE4月のキャンペーンソング、JUJUで「ライブ!トゥゲザー」、トーキョー・ガールズ・アンセムというサブタイトルがついていますけども、JUJUとデルタ・グッドレムという、ニューヨークとシドニーの歌姫ですね。このデュエットは、私、松尾潔のプロデュースでお聴きいただきました」
久「いい曲じゃないですか」
KC「ほんとですか? ありがとうございます!」
久「R&Bを理解してる男だからこそできる、これは新しいスタイルのブルーアイドソウルですよね」
KC「おおー! そう言っていただけるんであれば、狙い通りというか」
久「JUJUはこうやって歌うとキラッとした声なんだね」
KC「JUJUにとってもこういう曲ははじめてなんですけど、デルタ・グッドレムの持ち味をうまく活かそうとすると、ここに着地したというか。スティーブ・ウィンウッドとか、スタイル・カウンシルとか、イギリスのソウル好きの人のポップナンバー、みたいなものを意識して作りました」

My Life

My Life

《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.6 【「Love Reborn」リミックスこぼれ話】

久「次にかける曲は、俺の曲というより、KCの曲で」
KC「音源の中ではじめてコラボしたのはこの曲ですよね。もう10年前ですよ、時の流れははやいなあ。たしか、このリミックスの仕上げくらいの時に、久保田さんから電話がかかってきたんですよ」
久「ニューヨークから、かけたね」
KC「それで、「どうせリミックスするんだから、レコーディングしたときから気になってた、ある部分をKCなりにいい感じにしてくれる?」みたいなお話をされて。今考えたら、ぼくはその時いい感じで飲んでたんですけど、久保田さんはニューヨークですから、真夜中じゃないんですよね」
久「真昼だね」
KC「でも、記憶の中では、久保田さんと一緒に焼酎でも傾けながらこの曲の構想を練り上げていた、というのを、さっき思い出しました」
久「構想だけ話して、出来上がりを聴いた時は驚いたね。そこまでのカラーを期待してなかったというか、クオリティをここまで持ってきてくれるっていうのはイメージになくて。鼻が高かったよ、俺。その時は(スタッフに)松尾潔はリミックスとかあんまりやってなかったけど、意味はわかってくれるよ、って言って」
KC「ジョンBのリミックスやったら、「そんなんやるんだったら俺のもやんなよ」って、軽い感じで声かけていただいたんですよね」
久「その話はたしかね、ニューヨークの5番街の街角でしたんですよ。「最近ね、僕、ジョンBのリミックスやってるんですよ(口真似)」とか言ってて、「えっそんなことやんの?あれ、(リミックス)やってるってどういうこと?」と思ったんだよね。でも、聴くセンスがあれば(曲にすることも)できるわなーと思って、妙に納得したんだよね」
KC「この話、聴いた後にしてほしかったなあ……1988年に発売された『サッチ・ア・ファンキー・サング!』に収められていた「ラヴ・リボーン」という曲の、それから10年後、『AHHHHH!』(1998年)というシングルのカップリングに収められていますリミックスです。これは、久保田さんが僕に遊び場を用意してくれたものだと解釈しております(笑)。「ラヴ・リボーン(KC'ズ・ワチャゴナドゥ・リミックス)」」


♪ 久保田利伸「LOVE REBORN (KC’S “WHAT’CHA GONNA Do?”REMIX) 」

AHHHHH!

AHHHHH!

SMOOTH

SMOOTH

Such A Funky Thang!

Such A Funky Thang!