《THE UNIVERSE 月曜日》文字起こしvol.3:松尾潔×久保田利伸対談(2008年3月31日放送)vol.5 【楽曲における楽器ソロとは】
久「「ゲット・イット・トゥゲザー」、久々に聴いたけど、鍵盤のソロが入ってるんだ!と思ったね」
KC「最近のR&Bの楽曲って、ほんとに(楽器の)ソロがないですよね」
久「たまに、ギターのディストーションのすんごいロックエッジなやつが無理矢理入ってきたりするけど、80年代の……それこそキース・スウェットライクな曲郡、あの辺は必ずソロがあったりね」
KC「キース・スウェットの最初のアルバム(『メイク・イット・フォーエバー』。1987年発表)なんて、鍵盤のソロから始まりますもんね(「サムシング・ジャスト・エイント・ライト」)。久保田さんと一緒にソウルバーに行くと、この2人だからってことでルーサー(・ヴァンドロス)がかかったりするんだけど、僕が歌のラインだけじゃなくて、シンセとかストリングのラインまで真似すると、露骨に嫌な顔しますよね。あれ、感じわるいですよ(笑)」
久「感じわるいっていうか、素直な感情を表現しただけなんで(笑)。でもやっぱり、歌歌いじゃない人が、曲のはじめから最後まで覚えて、そのエモーションまで入れて、歌いきって、それで終わるところにかぶってストリングスがチャララ〜♪って入ってるとね(笑)。普通そこは休むところなんだよ(笑)」
KC「そうなんですか(笑)」
久「そのまま歌っちゃう感じっていうのは、その場で聴かなきゃいけない場合、ぼくらは、大人のメンタリティをもって接しないといけないんだけど、それはね、作った本人とか、例えばルーサーでも、やってる冥利に尽きると思うよ。そういうことを誰かがやってくれたら、シンガーとして。ルーサーに至っては自分の曲を会社の名前に使われちゃってるわけだからさ、そんなにありがたいことはないよ。でも、いいのかなあ(笑)」
KC「怒ってはいないみたいですよ(笑)。でも、我々は世代的に歌謡曲もイントロなんかを全部耳で覚えて、口で歌いながら身体の中に取り入れていった世代じゃないですか?」
久「そうだねぇ」
KC「例えば、尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」(71年発表)とか、歌も好きなんだけど、こっちで歌うときは音全体で再現しちゃうんですよね」
久「しかも、あの頃であればあるほど、イントロがキャッチーなんだよね。歌謡曲なんかは特にそうだった」
KC「イントロが歌える感じなんですよね」
久「いいR&Bもイントロがキャッチーなんだよね」
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