MSN

ブロック5(続き)

吉「ニューヨークのWBLSとか……」
KC「WBLSとKESSはよく録りましたね〜。あと、WJLHですかね、LAだと」
吉「WJLH……ん?LAだとKナントカじゃない?」
KC「そうだった!KLHJ……?」
吉「あっ、KJLHだ!」
KC「そうだ!」
吉「スティーヴィーのステーションね。あとね、LAだとKDAYっていう……AMステーションなんだけども」
KC「ちょっと古めのソウルかけたりする局でしたっけ?」
吉「そう!さっき話したドン・トレイシーは、KDAYのDJだったんですよ」
KC「へぇ〜、ぼくはAMっていうのはうっかり……チェックしてなかったな……不覚だったなぁ」
吉「LAではじめてラップをかけたステーションなんだって、KDAYは」
KC「ほぉ〜」
吉「だから、黒人コミュニティにいちばん根付いてた局がKDAYってことになるじゃない?」
KC「それってAMだったんですね……」
吉「AMだったの。1600いくつかでね。83年にぼくがLAに遊びに行って、ドン・トレイシーに電話して「来い」って言われてたから、KDAYのステーションに行ったんですよ」
KC「ハイ」
吉「そしたら、もらった住所と地図を頼りに行くんだけども、どうも局が山の上にあるのよ……っていうか、AMステーションは大体山の上にあるんですよ。じゃなかったら高いビルに高いアンテナ立てたりして。それで、山の上を行くんだけど、何もない所だから住所が細かいとこまでわかんなくて、迷いそうになったんだよね。それで、頂上に近いところに、なんか平屋の一軒屋があったんですよ……」
KC「ここか……と」
吉「でも、何にも書いてないわけ。とはいえ、あるとすればここしかないわけだから、入っていってみたら、別に警備の人も受付の人もいなくて。ちょうど夕方だったんですけど……」
KC「J-WAVEはえらい違いですね!」
吉「こんなパスとかカードとか関係なくて、ドアをトントン叩いて誰も応答しないで、鍵もかかってないから普通に入れちゃうんだよ。それで、中に入ってみると、ふっつうの民家で、一箇所ぽつんとスタジオみたいなとこにドン・トレイシーがいたのよ」
KC「ほぉ」
吉「その当事のDJって8トラックカセットで曲出しをしてるんですね。そこにはトップ40ものから古いのもたくさんあって、それこそミッドナイトスターのなんとかっていうのが背に書いてあって、ひとりで頭出しして、ジングルだして……とにかく、ぜんぶやらなきゃいけない」
KC「ひとりしかいませんもんね」
吉「それなのに曲間とかにぼくの相手をしてくれるんですよ」
KC「ええ、ええ」
吉「そこで、せっかく来たんだからお前もなんかしゃべれって言われたんですよ」
KC「それは……はじめて聞きました!」
吉「マイクを差し出されて……」
KC「生放送ですよね……?」
吉「もちろん!向こうはぜんぶ生だから……で、曲が終わったら何話そうかなって考えてたら、ドンが「今日は日本からのフレンドが来てるんだ」とかなんとか言ってんですよ!それで、もう何しゃべっていいのかわかんなかったから……日本語で『こんにちは。こちらは、ロスアンジェルスのKDAYです』って言ったんだよ」
KC「ハッハッハッハ」
吉「だって英語でそれ言ってもしょうがないし……」
KC「でも、それってクールかも!」
吉「同録のテープを記念にくれて、ドンが『You may radio deview today.』(『君のラジオデビューは今日だな』)って言ったんですよ」
KC「それはいい記念でしたね」
吉「『そっか……おれのラジオデビューは1983年のKDAYなんだ!』って。で、彼の番組が4時間くらいあって、その後ドンの家行ったら、奥さんが『あんた今日ラジオで声だしてたわね』なんて言われて」
KC「その頃って、吉岡さんはまだ20代ですよね?その年でそんなすごい経験しちゃうと、もう他の道にはいけませんね。そこが自分の居場所だって思うのに充分な体験ですよね」
吉「そうですね〜。そのガラス越しに見たドン・トレイシーの姿がね、どこかで見たことあるような気がして。そしたら、なんか『アメリカン・グラフィティ』でウルフマンジャックのシーンってこんな感じだったなぁ、と思って」
KC「フフフフフ。そのお話を聞きながら、ぼくもそれを思い出してました。ワンマンDJっていうと、どうしてもウルフマンジャックの画が浮かびますね」
吉「そうしたら、これは後々わかったんだけど、『アメリカングラフィティ』でウルフマンジャックが使ってたスタジオが、そのKDAYのスタジオだったの!」
KC「へ〜。それじゃ、まったく気のせいじゃなかったんですねぇ。でも、いきなりマイク差し出されてよくギョクオン放送チックな日本語が出てきましたね……」
吉「あのテープ、まだどっかにあるんだよなぁ……どっか行っちゃったけど……」
KC「なんでそんな肝心なテープが手もとにないんですか!最後ずっこけましたよ!」
吉「あ〜……探しときます……なんとか探しときましょう!」
KC「ぜひ聴きたいですよ!……でも、吉岡さんってご自身のことに限っては、ほんっと執着がないですよね」
吉「フフフ。そうですね。そのドン・トレイシーのショーは録音した後、30センチのLP盤になって、各米軍基地に配られてたらしいんですよ」
KC「いわゆる盤頒ってやつですね」
吉「で、レコードなもんだから、FENの番組はしゃべりごと飛んじゃうんだよね。そのLPを1枚もらったんだけど……またどっか行っちゃったんだよ。ぜったいどっかにはあるんだけど……」
KC「フフフフフ。吉岡さんちは音のジャングルじゃないですか!」
吉「<音のジャングル>!うまいこと言いますね……さすが作詞家!」
KC「フフフフフ。変なとこに反応しないでくださいよ!でもね、東京で小さな地震があると、『吉岡さんちのレコードだいじょうぶかな…』って思っちゃうんですよ」
吉「レコードだけ?!……まぁ、今はほとんどCDですけどね」


吉「例えば、70年代とか昔のソウルの映像って、今あんまり手に入らないですよね。でもソウルのコレクターはなんらかのツテで入手してたりするじゃないですか、音も画もぐちゃぐちゃだったりして」
KC「ですね」
吉「でも、そういうのでも、見たいじゃないですか、歴史的資料として」
KC「画質の問題じゃなくてね」
吉「1969年のジェームス・ブラウンはどういう動きをしてたのか……といったときに、やっぱ見たいわけですよ」
KC「ええ」
吉「それはやっぱ、国立国会図書館にあるべきだし、あるいは誰かコレクターが公開するようなかたちで、持っていた方が、後世のためにぜったいいいんですよ」
KC「吉岡さんは、ルーサーの写真とか、ロバータフラックのコーラスをやってたときのルーサーの映像とか、持ってるから出せるのに……ぼくは自分ではあんまり持ってないんで……お話聞いてると、やっぱ取って置くべきだったなぁって思うんですよ。ちょっと……こんなこと言うのもおこがましいんですけども、ぼくと吉岡さんってけっこう性格似てるとこあるんですよね」
吉「フフフフフ。ぼくもKDAYのテープどっかいっちゃってるしね……」
KC「フフフフフ。今日のお話のなかではそれがいちばんもったいなかったなぁ……」


KC「じゃあ、ラジオ絡みで、<クワイエットストーム>というラジオのフォーマットがありますけども」
吉「<クワイエットストーム>というラジオのフォーマットのテーマ曲で、スモーキー・ロビンソンで、その名も「クワイエットストーム」!」